top of page

失敗という概念なき異端児。 2代目歯科医師が抱く、健康寿命日本一への野望。

  • 3月12日
  • 読了時間: 8分


鳥取県で歯科医院の院長を務めながら、農業、睡眠指導、さらには地方創生まで手掛ける広田歯科医院の廣田健太郎氏。 


傍から見れば、順風満帆でスマートな2代目経営者だ。しかし、彼の内側には「2代目を、ただ継ぐことだけはしたくない」という強い思いと、周囲の冷ややかな目を跳ね除けてきた歴史があった。


「これまでの最大の挫折は何ですか?」


その問いに対する彼の答えは、我々の想像を完全に裏切るものだった。


他人の目に怯え、一歩を踏み出せない全てのビジネスパーソンへ贈る、元フィールドホッケー日本代表・中村航司による魂のインタビュー。



歯科医の概念を超えた歯科医師

【中村】 廣田先生は歯科医でありながら、栄養学から農業、睡眠の質を高めるアプローチまで、本当に多岐にわたる活動をされています。この独自のビジョンは、どこから生まれたのでしょうか。


お父様が歯科医師で、2代目として家業を継ぐことへの葛藤などもあったのではないかと想像します。


【廣田】 父が医療で人に貢献している姿はすごくかっこいいと思っていました。

でも、いざ自分が事業承継するとなった時、良くも悪くも「ただ親の敷いたレールを受け継ぐだけ」なのは絶対に嫌だったんです。


自分なりのカラーを出さなければいけない。そもそも自分の人生とは何なのか、ずっと考えていました。


【中村】 与えられたレールに乗るだけでは満たされなかったのですね。そこからどうやって、今の「歯科の枠を超える」ビジョンに行き着いたのですか。


【廣田】 ある時、「お金のない国」という本を読んだのがきっかけです。

お金という価値観が存在しない世界で、人々は純粋に誰かのために仕事をしている。


もし自分がその世界に異世界転生したら何をするか考えた時、寿命や病気で苦しむ人を減らし、「人々の健康寿命を延ばしたいんだ」と気づいたんです。


だから口の中を治すだけでなく、患者さんの普段の食事や睡眠まで変えていこうと、農業や睡眠指導にまで領域を広げました。



歯科医の枠を越えた挑戦とドリームキラー

【中村】 なるほど。しかし、業界の常識から外れたことをしていると、周囲から冷ややかな目で見られたり、批判されることはありませんか?これだけのことを成し遂げるには、並々ならぬ努力や苦労があったはずです。


【廣田】 周りの人からは「いろんなことをやっていてすごいね」「すごく努力しているね」とよく言われます。でも、僕自身としては全く努力している感覚がないんです。


ゲームに夢中になっている時って、何時間やっても苦にならないじゃないですか。あの状態に近いんです。もちろん「そんなことをやっている暇があるなら、もっと歯科の勉強をしたらどうなんだ」と批判してくる人も当然います。


【中村】 そういうドリームキラーのような言葉を投げかけられた時、率直にどんな感情になるのでしょうか。怒りや悔しさは湧きませんか。


【廣田】 正直にお話しすると、感情は全く動きません。僕の正解と、その人の正解は違うからです。


究極の話、目の前に「赤いリンゴ」があったとしますよね。他人がそれを見て「いや、それは黒だ」と言ってきても、「いや、赤でしょ」としか思いませんよね。絶対に赤だという確固たる自信と腹落ちした理念があれば、他人の言葉にいちいち惑わされることはないんです。



留年危機。ノートを取らずに掴んだ逆転劇

【中村】 すごく腑に落ちました。しかし、どれだけ自信があっても、新しい挑戦を続ければ必ず壁にぶつかったり、大きな挫折を味わう瞬間があるはずです。

先生のこれまでの人生で、一番の「失敗」や「大挫折」は何でしたか?


【廣田】 うーん。。。

案外うまくいっているというか、パッと思いつくような「大きな挫折」ってないんですよね。


【中村】 なるほど、お話を聞いていて一つの確信に至りました。先生は「失敗をしていない」のではなく、人から見れば明らかに苦労や絶望に見える出来事でも、ご自身でそれを「失敗と捉えていない」のではないでしょうか。


【廣田】 ああ、そうかもしれません。起きてしまった結果や過去の感情って、自分でコントロールできないじゃないですか。変えられないものに囚われて悩むのは、エネルギーの無駄遣いで本当にもったいない。


思うようにいかなかったことは、それは失敗ではなくただの「学習」です。そこから何を学ぶか。むしろその事象をどうプラスに繋げるかの方が大事だと思うんですよね。


でも、強いて挙げるなら、大学6年の時のことですかね。ちょっとした危機を経験しました。(補足:歯科医師になるには、6年制の大学で歯学を修め、国家試験に合格する必要がある)


【中村】 ちょっとした危機とは?


【廣田】 5年から6年に上がる時、テストの成績が悪すぎて本気で留年しかけたんです。130人くらいいる同級生の中で、僕は127番とかで。このままじゃ国家試験にも受からない、本当にやばいなと絶望しました。


【中村】 そこからどうやって這い上がったのですか。


【廣田】 毎日絶対に大学へ行き、一睡もせずに授業を聞く。そして「授業中に全て暗記してやる」という執念で挑みました。


僕はノートを一切取らなかったんです。先生が言ったことを直接教科書に書き込み、その日のうちに今日やったことを誰かに講義する、というシンプルな勉強法を続けました。結果、国家試験に一発で合格することができました。



失敗を「学習」に変える、揺るぎない自信の作り方

【中村】 シンプルなことをやり遂げる。アスリートも同じですがこれが1番難しくもあり、最も大事だったりしますよね。


世の中には他人の目を気にして挑戦に踏み出せない人や、過去の失敗に囚われて動けなくなっている人がたくさんいます。そういう方たちが先生のような境地に辿り着くには、何から始めればいいでしょうか。


【廣田】 まずは「小さな自信」をつけることです。何でもいいんです、例えば筋トレをしてベンチプレスの重量が少し上がるだけでもいい。


ビジネスであれば、1年間の目標を立てて、それを12ヶ月、さらに30日に分割してみてください。すると、1日あたりのタスクって、実は「なんだ、こんなもんか」と思うくらいしょぼいものになるんです。


【中村】 目標を細分化するのですね。


【廣田】 はい。でも、その小さなタスクを毎日無心でこなしていく。すると「俺、毎日ちゃんと目標に向かってやれてるな」という実感が湧き、それがやがて自信に変わります。


その絶対的な自信さえ積み上がっていけば、誰に何を言われても迷わなくなるし、アンチの声なんか聞こえないくらいのスピードで突き抜けられますよ。



日本一人口が少ない県を、日本一「健康寿命が長い県」へ

【中村】 絶対的な自信が他人の声をかき消す。本当にその通りだと思います。そんな揺るぎない自信とビジョンを持つ廣田先生ですが、最後に、これから先に見据えている「今後やりたいこと」を教えてください。


【廣田】 僕の最終的な目標は、この鳥取という日本一人口が少ない県を、「日本一健康寿命が長い県」にすることです。


過疎化は進んでいるけれど、ここに住んでいるおじいちゃんやおばあちゃんは異常なほど元気で、医療費もすごく少ない。そんな状態を作りたいんです。


【中村】 そのために、具体的にどういったアプローチを進めていくのでしょうか。


【廣田】 まずは「知ってもらう」ための啓蒙です。僕がこれまで学んできた歯科、栄養、睡眠、温泉や入浴などの知識を全て凝縮したセミナーをどんどんやりたいと思っています。


ただ、知識を知ってもらうだけでは人は変われません。どう行動に落とし込むかまでサポートしたい。


そのために今、大山の麓で水と土にこだわって野菜を作っている農家さんと提携し、本当に安心して食べられる食材のECサイトを作っています。


睡眠に関しても、ドライヘッドスパやフランス式アロマを取り入れた質の向上アプローチを考えています。色々な角度からアプローチして、本当に目標を実現したいんです!


【中村】 知識の提供から、具体的な行動のインフラ作りまで一貫しているのですね。


【廣田】 はい。僕と出会って話を聞いてくれた人が、それをきっかけに健康になり、そこから人生そのものが良い方向へ変わってくれたら、これほど嬉しいことはありません。


そのために、自分自身の知識や技術はこれからも常に磨き続けていきます。




編集後記

編集部より:今回の取材を通し、廣田先生の言葉の端々に、トップアスリートたちと全く同じ「凄み」を感じました。 


「失敗したことがない」という言葉の裏にあるのは、平坦な道を歩んできたということではありません。どんな理不尽や壁に直面しても、それを「失敗」と名付けず、次への「学習」として昇華させてしまう圧倒的な自己認識の力です。


後継ぎとしての重圧や、学年最下位層という絶望。それらを「赤いリンゴは赤である」と言い切れるほどの絶対的な自信に変えたのは、日々の泥臭いタスクの積み重ねでした。


もし今、他人の評価や過去の失敗に縛られ、苦しんでいる方がいたら理解してほしい。

周りの目は、あなたが思っているほどあなたの人生の責任を取ってはくれません。


廣田先生のように、まずは今、目の前にある「小さなタスク」を全力で終わらせてみませんか?

その小さな一歩の積み重ねだけが、誰にも壊せない本物の自信を作ってくれるはずです。



【Guest Profile】

廣田 健太郎  広田歯科医院 院長。鳥取県を拠点に、歯科医療のみならず栄養学、睡眠、農業などを統合した本質的な健康寿命の延伸に取り組む。温泉健康指導士の資格も併せ持つ異端の歯科医師。


【interviewer】

戦う経営者図鑑公式インタビュアー

中村 航司 一般社団法人日本スポーツコミュニティ協会(縁TRANCE) 代表理事

元フィールドホッケー選手(ドイツ・ブンデスリーガ所属/元U18日本代表)

世界トップリーグでのプレー経験を持つアスリート。引退後は、スポーツで培った「挑戦するマインド」をビジネスに活かすべく活動中。


コメント


bottom of page