「Jリーガーか、社長か」 夢を諦めた18歳の決断と、そこからの逆転劇。
- nagano
- 1月17日
- 読了時間: 4分

「スポーツ選手は、並大抵じゃない精神力で我慢をしてきている。だから応援したいんだよ」
インタビューの最中、その言葉を聞いた瞬間、胸が熱くなってしまいました。
こんにちわ。元プロボクサーの長野憲次です。
先日、ある経営者の方にお話を伺う機会がありました。
株式会社クロールアップの及川大生社長。

プロフィール写真はすごく爽やかで、一見すると順風満帆なエリート経営者に見えます。 でも、その半生を聞かせてもらって、印象はガラリと変わりました。
及川さんの歩んできた道は、**「泥臭い殴り合い」**の連続だったからです。
今日は、単なる会社の成功話ではなく、一度は夢を諦め、震災とコロナという強烈なパンチを浴びながらも、「まだ試合は終わっていない」とリングに立ち続ける、一人の経営者の物語を書きたいと思います。
■ 18歳の挫折は「逃げ」だったのか?
及川社長は元々、本気でプロを目指していたサッカー少年でした。
高校卒業時には、なんと契約の話まで進んでいたそうです。 しかし、そこで提示されたのは「月給13万円」。しかも午前中は協賛企業で働かなければならないという厳しい条件でした。
「思ったより夢がないな、と。このまま行っても通用しないし、遊びたい気持ちもあった」
及川社長はそう振り返り、あっさりプロの道を断念します。

正直、私なら「意地でもプロにしがみつく」と思ったかもしれません。スポーツマンにとって、夢を諦めることは敗北のように感じるからです。
でも、及川さんはそこでスパッとフィールドを変え、もう一つの目標だった「社長になること」へ舵を切りました。
22歳で起業。この**「見切りの速さ」と「決断力」**こそが、及川さんの最初の才能だったのかもしれません。
■ リングが変わっても「戦い方」は同じ
22歳で会社を作った及川さんが最初に手掛けたのは、優雅なオフィスワークではありません。
移動販売車(キッチンカー)を何十台も束ねてイベント会場を埋めるという、体力のいる泥臭い仕事でした。
「キャッシュフローを生もうと必死でした」
その言葉からは、がむしゃらに練習に打ち込む新人選手のような熱気を感じました。
しかし、経営というリングは甘くありません。 東日本大震災の特需、いわゆる「震災バブル」で一度は潤ったものの、その後は何度も経営の危機が訪れたそうです。
そして決定打になりかけたのが、新型コロナウイルスです。
「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと焦って設備投資をして、結局それが溶けてしまった。自分の未熟さでした」
ボクシングで言えば、焦って大振りのフックを空振りし、強烈なカウンターをもらったような状態だったはずです。 多くの飲食店がここでマットに沈んでいきました。
でも、及川社長はダウンしませんでした。
■ 「耐える強さ」がチャンスを呼ぶ
「儲かっている企業は、変化する強さか、耐える強さを持っていた」
そう語る及川社長に訪れたのは、一つの幸運でした。 コロナ禍で他社が撤退した公園内のカフェ出店の話が、巡り巡って及川さんのもとに舞い込んだのです。
これを機に、及川さんは守りに入らず攻めに転じました。 結果、そのカフェは高利益を生む事業へと成長し、イベント事業も復活。見事に形勢を逆転させました。
ピンチを凌いで、凌いで、最後にワンチャンスを物にする。 まさに、試合終了間際の逆転ゴールを見ているようでした。
■ 仙台から世界へ。第2ラウンドのゴング
インタビューの終盤、及川社長は少年のように目を輝かせて語ってくれました。
「あと3年で事業の地盤が固まったら、アメリカで勝負したいんです」
後輩がアメリカでラーメン店を出し、短期間で大きな売上を作ったことに刺激を受けたそうです。
「ニューヨークのような主要都市じゃなくても、日本のコンテンツは勝負できる」。 そう確信した及川さんは今、仙台から世界への進出を本気で狙っています。
危機を乗り越えて、それで終わりじゃない。 マイナスをゼロに戻したその先で、また新しい夢に向かってリスクを取ろうとしている。
その姿を見て、私は同じ勝負の世界にいた人間として、猛烈にシンパシーを感じました。
■ 最後に:なぜ僕はこの会社を推したいのか
及川社長は言いました。
「スポーツを一生懸命やってきた人間は強い。そのチーム力を発揮してくれたら、会社としてもありがたい」
ご自身がアスリートとしての厳しさを知っているからこそ、選手のセカンドキャリアにも深い理解を示してくれました。
「何も知らないアホだったからこそ、教えてくれる人がいると助かる気持ちがわかる」と笑う社長の下なら、元アスリートたちはきっと、新しい「戦う場所」を見つけられるはずです。
もし、現役を引退して次の道に迷っている選手がいたら、僕は迷わずこの会社を紹介したい。 ここには、一緒に汗をかき、時には泥にまみれながらも、世界という大きなゴールを目指せる熱い仲間がいるからです。
及川社長、アメリカ進出の際は、ぜひ一番に応援させてください。 私も負けていられないなと、心地よい刺激をもらった取材でした。
インタビュアー: 元プロボクサー 長野憲次



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