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1000万プレイヤーを。若手を信じ抜く覚悟|株式会社ZERO

  • 4 日前
  • 読了時間: 9分

建設業界の常識を覆し、設立2期目ながら若手職人が躍動する株式会社ZERO。代表の𠮷川浩司氏は、自身の職人時代の経験から「職人で年収1000万円プレイヤーを作りたい」という明確な目標を掲げています。


 18歳で厳しい職人の世界に飛び込み、独立当初は「明日の仕事がない」という焦燥感を味わいながらも、ポジティブに道を切り拓いてきました。


なぜ彼は、20代前半の若い社員たちに現場の決定権を委ね、心から信じ抜くことができるのか。 元プロボクサーであり、戦う経営者図鑑公式インタビュアーの長野憲次が、その等身大の経営ストーリーと組織づくりの哲学に迫ります。



職人時代の経験を活かして

《長野》: 本日はよろしくお願いいたします。まず驚いたのですが、建設会社というと、どうしても年配の職人さんが厳しい声を出しているような「ゴリゴリの職人集団」というイメージを持っていました。


でも、𠮷川社長は現在37歳とお若く、社員の方々も非常に若い力で会社を引っ張っていらっしゃいますよね。


《𠮷川さん》: そうですね、皆さんのイメージとは少し違うかもしれません。現在、私を含めて11名の従業員がいますが、現場の主力として動いてくれているのは25歳未満の若い子たちです。一番若い子で21歳ですね。


当社は防水工事やシーリング、特に補修工事をメインに行っているのですが、設立からまだ2期目ということもあり、若い彼らの力に本当に助けられています。


《長野》: 設立2期目でそれだけ若い方々が定着し、活躍しているというのは本当に素晴らしいことだと思います。なにか組織づくりで意識されていることはあるのでしょうか。


《𠮷川さん》: 自分の職人時代の経験から、「こんな会社だったらいいな」というものを取り入れています。 例えば、今の若い子たちって、仕事が終わってからのプライベートの時間をすごく大切にするじゃないですか。


だから、現場が家の近くにあるのに、わざわざ一回会社に集合してから向かわなければならない、といった昔ながらのルールは極力なくしました。 基本的には直行直帰で、いちいち私が細かく口出しするのではなく、彼らを信用して任せていますし、彼らもそれにしっかりと応えてくれていますね。



「仕事に行かなきゃいけない」からの脱却

《長野》: 彼らをそこまで信じられるのは、𠮷川社長ご自身の経験がベースにあるのですね。そもそも、𠮷川社長がこの建設業界に入られたのはおいくつの時だったのでしょうか。


《𠮷川さん》: 17歳の時に、友人の父親がシーリング工事をやっていて、「遊んでるんやったら手伝いにおいで」と誘われたのがきっかけです。 その後、18歳の時に少しの期間だけ工場に勤めたりもしたのですが、途中で「これは違うな」と思って、また建設業に戻りました。それから前の会社で12年間お世話になりました。


《長野》:18歳で再び職人の世界に戻られた時、すぐに仕事の楽しさややりがいを見出せたのでしょうか。


《𠮷川さん》: いや、全くそんなことはありませんでした。最初はやっぱり「きつい、汚い」という業界のイメージそのものでしたし、正直、仕事に魅力を感じていたわけではありませんでした。ただ単に「仕事をしておかないといけないからやっている」という、本当にそんな感覚でしたね。


《長野》:それでも辞めずに続けられたのは、なぜだったのでしょう。毎日のように現場に向かう中で、葛藤もあったのではないかと想像します。


《𠮷川さん》: そこで辞めてしまったら「逃げた」と思われるんじゃないか、という気持ちがどこかにあったのではないかと思います。


転機になったのは入社して3年ほど経った頃でした。上の世代の人たちが独立や移籍でどんどん抜けていき、私が頭として現場に行かざるを得ない状況になったんです。 今まで指示されて動いていた立場から、自分で考えて現場を回す立場になった。その責任とプレッシャーの中で、初めて「やりがい」のようなものを感じ始めましたね。



独立の不安と運の良さ

《長野》:そこから経験を積み重ねて独立されたと聞いています。独立に対する不安はありませんでしたか。


《𠮷川さん》: もちろんありました。昔から「独立したい」という思いはありましたが、いざとなると自分にやっていけるのかという自信は完全にはありませんでした。 それでも、前職の社長が「やってみろ」と背中を叩いてくれたことが大きかったですね。


《長野》:実際に独立されてから、壁にぶつかることはありましたか。


《𠮷川さん》: 最初は本当に必死でした。2人でスタートしたんですが、夕方の時点になっても「明日の仕事がどこへ行くか決まっていない」という日がざらにありました。


私たちの仕事は天候にも左右されますし、特に梅雨の時期などは仕事が減ってしまいます。資金的にも苦しい中で、どこかに応援に行こうにも声がかからない。さらに、独立した直後がちょうどコロナ禍の始まりと重なってしまったんです。


《長野》:それは想像を絶するプレッシャーですね。先の見えない状況の中で、どのようにしてそのピンチを乗り越えたのでしょうか。


《𠮷川さん》: 夜に突然電話がかかってきて「明日、現場に入ってくれないか」と急遽仕事が入ったりするんです。たまたまかもしれませんが、私は昔から自分が「運が強い」と信じているようなポジティブな性格なので、なんとか乗り切れるだろうという根拠のない自信のようなものがありました。 


もちろん不安になることもありましたが、結果的には周りの仲間に助けられながら、なんとかここまで形にしてくることができました。



「1000万プレイヤーをつくる」

《長野》: そうした泥臭い経験をされてきたからこそ、今の社員の方々に対する強い思いがあるのですね。会社としての今後の大きな目標を教えていただけますか。


《𠮷川さん》: 一番近い目標としては、うちの職人の中から「年収1000万円プレイヤー」を作り出したいと考えています。 私自身、12年間雇われで職人をやっていた時代、正直ボーナスがなかったんです。


その時の「もっと稼げないのかな」「ボーナスがあったらいいな」という実体験から、自分の会社では年2回のボーナスは必ず出すと決めて実行していますし、社員にもっと稼がせてあげたいという思いが強いです。


《長野》: 職人で1000万円というのは、業界の常識からすると非常に高いハードルだと思います。それを実現するために、具体的にどのようなアプローチを考えていらっしゃいますか。


《𠮷川さん》: もちろん、現場の作業だけをしていて1000万円に到達するのは厳しいです。しかし、今いる20代前半の若い子たちの中には、コミュニケーション能力が高く、周りからの印象も非常に良い子がいます。


 そういった子には、ただ作業をするだけでなく、徐々に現場の管理や他の協力業者さんとの段取りなども任せ始めています。若いのにしっかりしていると、元請けさんからも非常に評価が高いんです。


《長野》:若い社員に現場の頭を任せるというのは、経営者としては勇気がいることではないですか。失敗のリスクを考えて、つい口出ししたくなってしまう経営者の方も多いと思います。


《𠮷川さん》: 最初はやっぱり「任せる」というのは怖かったですよ。私が現場に入って確認した方が安心ですし、確実です。でも、私が頭として入ってしまうと、彼らはどうしても先輩に甘えてしまう部分が出てきます。


 私自身がそうだったように、自分がいない状況で「なんとかしなければならない」という責任感を持たせた方が、絶対に成長が早いんです。だから、いちいち細かいことに口出しせず、現場の決定権は彼らに持たせるように意識しています。


《長野》: 信じて任せ、その結果に対しては自分が責任を持つ。まさに経営者としての覚悟ですね。その矢印が常に社員に向いているからこそ、彼らも意気揚々と働けているのだと感じます。



続けることの難しさと、これから描く未来


《長野》: 最後に、ご自身の経験を踏まえて、これから何かに挑戦しようとしている若手ビジネスパーソンや経営者に向けてメッセージをお願いします。


《𠮷川さん》: 今は一つの会社に長く勤めるよりも、環境を変えていく風潮もあると思います。でも私は、人間にとって「一つのことを続けること」が一番難しく、そして一番大切だと思っています。 


私自身、最初からこの仕事が大好きだったわけではありません。心が折れそうになったことも何度もありました。それでも、尊敬する社長がいたから、負けず嫌いだったからと理由は様々ですが、とにかく続けてきました。続けることができる人は、メンタルも根性も鍛えられます。それが成長への第一歩になるんじゃないかと、強く思いますね。


《長野》: 続けることでしか見えない景色があるということですね。株式会社ZEROとしての今後の展望はいかがですか。


《𠮷川さん》: まずは施工店として、人から「ZEROの職人はいい仕事をするな」と信頼される品質の向上を追求していきます。


そして、今いる若いメンバーたちがしっかりと稼ぎ、彼らが中心となって組織を大きくしていく。この3年間でしっかりと基盤を作り、みんなが生き生きと働けるような強い会社にしていきたいですね。


《長野》:𠮷川社長の熱い思いと、社員の方々への深い愛情がひしひしと伝わってきました。本日は貴重なお話をありがとうございました。



編集後記

経営において「社員を信じて任せる」という言葉はよく耳にするが、それを本当の意味で実践できているリーダーはどれほどいるだろうか。


𠮷川社長のお話を伺い、彼が持つ「信じ抜く力」の源泉には、ご自身の職人時代における泥臭い下積みと、明日の仕事が見えない恐怖を乗り越えてきた強烈な原体験があるのだと感じました。 


彼が若手社員に向ける視線は、単なる経営者と従業員という関係を超え、共に戦う仲間への深いリスペクトに溢れている。1000万プレイヤーの輩出という目標も、彼らなら必ず実現できると感じた。



プロフィール

𠮷川 浩司(よしかわ・こうじ) 株式会社ZERO 代表取締役。17歳で建設業界に入り、過酷な現場で職人としての技術と精神力を培う。12年間の勤務を経て独立し、株式会社ZEROを設立。


防水工事や補修工事をメインに展開し、若手職人が中心となって活躍する組織づくりを推進している。「職人で1000万プレイヤーを生み出す」という目標を掲げ、従業員を信じ、権限を委譲する独自のマネジメントスタイルで業績を拡大中。


長野 憲次(ながの・けんじ) 株式会社アスリート式 代表取締役。「戦う経営者図鑑」公式インタビュアー。24歳までプロボクサーとして活動後、自身の挫折経験を原動力に起業。経営者の生き様を称えるアワードの開催など、人と社会を熱くつなぐプロジェクトを牽引している。



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