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失敗を恐れず変化を楽しむ。異端の経営者が描く福岡発の文化ルネッサンス

  • 1 日前
  • 読了時間: 7分

福岡を拠点に多様な事業を展開し、売上200億円を目指すスリーアール株式会社の今村陽一代表取締役社長。社員数4人の頃から幾多の失敗を乗り越え、独自のユーモアと圧倒的な行動力で会社を牽引し続けています。


歴史や哲学への深い造詣から生まれるユニークな経営論まで、等身大の言葉で語っていただきました。元フィールドホッケー選手の中村航司が、今村社長の魅力あふれる人間性に迫ります。



スポーツが教えてくれた自分の適性

中村: 今村さん、本日はお忙しい中ありがとうございます。私は元フィールドホッケーの選手なのですが、本日はアスリートが経営者の人生に迫るというテーマで、いろいろとお話をお伺いできればと思います。


今村さん: よろしくお願いします。中村さんもバリバリのアスリートで、同席されている長野さんも元プロボクサーなんですよね。皆さんすごいです。私はのらりくらりと生きてきた人間なので、少し毛色が違うかもしれませんが……。


中村: とんでもないです。今村さんの気さくなお人柄をふんだんに引き出せればと思っています。今村さんはスポーツなどのご経験はあるのでしょうか。


今村さん: 実は中学と高校でバスケットボールを一生懸命やっていたんです。でも、ものすごく下手くそでしてね。部活内では誰よりも一番努力をしていたつもりだったんですが、運動神経が全然なかったんです。


中村: そうだったんですね。そこまで努力されて、何かご自身の中で見えてきたものはありましたか。


今村さん: 他の人の2倍も3倍も努力しても、追いつかない世界があるんだと分かりました。努力しても勝てない分野があるというのを知れたのは、私にとって非常に良い経験でした。逆に言えば、学問的なことや人様とお話しする分野に関してであれば、少しは勝負できるかもしれないと。自分にないものが分かって、少し自分の長所が見えてきたんです。


中村: 自分の適性やポジション取りを、学生時代に身をもって学ばれたのですね。



ユーモアの裏にある深い人間愛と落語の経験

中村: 今村さんのユーモアあふれる軽快なトークは、どこで培われたのでしょうか。


今村さん: 大学時代に落語をやっていたんです。岡山にある大学へ進学した際、先輩に誘われてついて行ったら、そこが落語研究会だったというだけの理由なんですけどね。


中村: そんなきっかけがあったのですね。


今村さん: いざやってみると楽しくなってしまいまして、一生懸命活動していました。でも、あえて大勢の前で20分間一人でしゃべり続けて、思い切りスベるような経験をすると、やはり度胸はつきますよね。


中村: 大勢の前でスベる恐怖を乗り越えるのは、とてつもない精神力が必要です。そのご経験が今の今村さんのベースにつながっているのかもしれませんね。


今村さん: そうですね。それに少し変わった子供だったのか、先生の授業を聞かなくても教科書を見れば答えは分かるんじゃないかと考えてしまうような、少し生意気なところもあったと思います。でも、そうやって自分の頭で考えてきた経験が、少々のことでは動じない今のベースになっているのかもしれません。



変化に対応し挑戦を続ける。スモールスタートで失敗から学ぶ哲学

中村: 現在スリーアールは100名以上の規模になり、新規事業も次々と展開されています。その裏には3000万円もの在庫を抱えるような大きな苦労もあったそうですね。


今村さん: 物販をメインにやっていた時期に、インフルエンザ流行時のマスクなど、在庫の積み上げミスで実質的に資金繰りがショートしかけたことが3回ほどあります。本当に厳しい状況でしたし、エイヤッと気合と根性で損切りして捨てるという非常にハードな決断もしてきました。


中村: そうした痛みを伴う失敗を経験しながらも、挑戦し続けられる経営哲学とはどのようなものでしょうか。


今村さん: 失敗をしないと成長しないという前提を持っています。新規事業を当てにいくときも、まずはスタートさせてみるんです。法的に危ういことは絶対にしませんが、数千万単位で一気に投資するのではなく、まずは数百万円の怪我してもいいぐらいの金額でスモールスタートさせます。


だめだったら撤退すればいいし、そこで社員が成長したり業界のことが知れたりすれば、数年後にまた挑戦できるかもしれない。


中村: なるほど。多くの会社が一つの事業に固執しがちな中で、次々と新しいものを生み出せるのはなぜでしょうか。


今村さん: 私たちの会社は、たまたまそういった新しいものを作る環境に慣れているだけだと思います。私自身、変化に対応し挑戦を続けるというミッションをとても大切にしています。昨日と同じルーティンをこなすだけでなく、どんどん変化を楽しめる人と一緒に働きたいと思っています。


中村: 今村さんが先頭に立って行動し続けるからこそ、その理念が組織全体に浸透していくのですね。


今村さん: 朝礼でも、変化に対応し挑戦を続けることが一番大事なんだと言い続けています。マネジメントにおいて理念を浸透させるには、恥ずかしがらずに道徳的なことも含めて言い続ける、やり続けるしかありません。



資本主義で勝ち切る。福岡から世界へ向けた文化サロンの構想

中村: 今村さんの座右の銘についてお伺いしたいのですが、歴史や哲学にも大変深い造詣をお持ちですよね。


今村さん: 私の座右の銘は西郷隆盛の敬天愛人という言葉なんです。天を敬い人を愛す。 ただ、それをそのまま言うと真面目すぎて重たいと思われるので、英語風にしてLove and Peace(ラブ・アンド・ピース)だと言っています。たまたま人間として生まれたからには、世のため人のために生きていくことができたなら、生きた価値があるのではないかと思っています。


中村: 素晴らしいですね。論語などの儒教的な精神も大切にされていると伺いました。


今村さん: 若手には論語を勧めることもあります。以前、ポスト資本主義について朝礼で一生懸命語ったことがあったんです。利益だけでなく、もっと違う価値観も大切なのではないかと。 でも、株式会社の活動自体が資本主義の中にあるのに、それを否定するような話をした結果、業績が少し落ち込んでしまって。理想ばかりを語る難しさを痛感し、非常に反省しました。


中村: 理想を語るだけではうまくいかないという教訓ですね。


今村さん: まずはしっかりと会社を成長させて、社会に対する影響力を持った上で理想を語らないと、なかなか説得力を持たないと思うんです。だから今は、売上200億円という規模に到達して、しっかりと力をつけることを目指しています。


中村: 福岡という地域に対しても、並々ならぬ熱い思いをお持ちですよね。


今村さん: 福岡は支店の街と言われていて、大手の支店が多く並んでいます。この状況を少し変えて、若い人たちが新しい商売をどんどん生み出せるような街にしていきたいんです。 優秀な若者が東京や海外へ出て行ってしまうのは寂しいですから、彼らがここで働きたいと思えるような魅力的な企業やエコシステムを、産官学の連携で作っていけたらと考えています。


中村: 最後に、戦う経営者図鑑の読者である経営者やアスリートに向けて、メッセージをお願いできますか。


今村さん: どれだけ努力しても負ける事実を知っている人間は強いです。そういう意味で、アスリートの方は我慢や忍耐を知っているので経営に向いていると思います。経営もうまくいかないことだらけですから。負けを知っていて、それでも負けたくないと思っている人は強い。そういう意識を持って、一緒に少しずつでも世界を良くしていきましょう。


中村: 試行錯誤を重ね、失敗を力に変えて挑戦していく今村さんの姿勢に、大変大きな刺激を受けました。本日は貴重なお話を本当にありがとうございました。



編集後記

失敗を恐れず、むしろ失敗から学ぶことを前提にスモールスタートを繰り返す。今村社長の軽快な語り口の裏には、大勢の前でスベり倒した落語の経験などに裏打ちされた、確かな精神力がありました。


敬天愛人をLove and Peace(ラブ・アンド・ピース)と表現する独自のセンスと、資本主義の中でしっかりと結果を出してから理想の社会を実現しようとするリアリストな一面。どんなに努力しても勝てない経験をしたアスリートの挫折すらも肯定し、挑戦の糧へと変えていく今村社長の姿勢は、日々プレッシャーと戦う多くの経営者に勇気と希望を与えてくれるはずです。



プロフィール

ゲスト:今村陽一(スリーアール株式会社 代表取締役社長) インタビュアー:中村航司(戦う経営者図鑑公式インタビュアー 一般社団法人日本スポーツコミュニティ協会 代表理事 元フィールドホッケー選手)

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